分析の流れ
お問い合せ まずは、お気軽にお問い合せください。電話、Fax、メール等、手段は何でも結構です。分析に関する質問、困っていることなど些細なことでも結構ですので、是非ご連絡ください。

ご相談・内容の確認 お客様と情報を正しく共有することが、価値のある分析を行う上で最も大切なことだと考えています。ご相談を通じて「何を明らかにしたいのか」について目的、内容をご確認いたします。

分析法の提案・お見積り お客様と一緒に考え、解決策を導き出す「分析方法」をなるべく複数ご提案し、ご予算の範囲内で最大の成果が期待できる分析方法を検討します。

ご依頼 ご提案いたしました分析方法・お見積り内容にご同意いただけましたら、営業担当者までご一報ください。分析サンプルの受領後、受注手続きをとり、分析に取りかかります。

測定・分析・評価 急ぎ結果が必要な場合、分析の立ち会い、進捗状況の確認を必要とされる場合は、お気軽にお申し付けください。

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問題・課題・トラブルから探す 表面分析

表面の状態が、その製品の機能を左右することがあります。スイッチやコネクターなど電気接点を有する製品。接着や粘着製品。摩擦・滑り性が求められるものなど。表面の状態を分析することにより、表面の機能を確認することが出来ます。
さらに、表面の状態を深さ方向に分析することにより、最表面の機能膜(層)の厚み、分布状態を解析することが出来ます。同様に平面方向の広がりを確認することも出来ます。

表面分析の分析手法
最表面(数nm〜10nm)に存在する元素とその結合状態が分かります
  • シリコーンかシリカか(EDSでは判別が出来ません)
  • マイクロスイッチの接点不良(銀の硫化による腐食)分析
  • 金属の酸化状態の確認

異物の特徴(現物)
  • 機能性物質に特徴的な元素、結合種による分布状態の分析
  • 表面化学修飾による解析
  • スパッタによる深さ方向の分布解析

汚染物質の分析
  • 薄膜状の微量汚染物の分析
  • 離型剤の粘着・接着面への転写確認



具体的事例紹介

リードフレームの異常分析
銅製のリードフレームにシミ状の異常部分が見られ、XPSで分析を行いました(写真@)。
Wide Scanを測定したところ、炭素(30 atom%)、酸素(46 atom%)、銅(24 atom%)が検出されました。それぞれのNarrow Scanを測定したところ、炭素は表面の汚れとして検出されたものであり、酸素と銅の測定結果から、酸化銅(I):Cu2Oと推測されました。
この結果から、黒色に見えた異常は異物ではなく、銅の酸化によるものと判明しました。
写真@

剥離PETフィルムの剥離面におけるシリコーン離型剤の濃度分布
幅300mmの離型フィルムを幅方向に5分割し、60mm四方のサンプルを用いXPSでシリコーンのスペクトルを測定することにより、幅方向の離型剤の濃度分布を求めました(写真A) 。
写真A

剥離フィルムの剥離不良分析
接着面を保護する剥離フィルムが剥がれにくいという問題が発生しました。不良部分は、正常部と交互に筋状に現れ、剥がれやすい部分と剥がれにくい部分が交互に形成されていました。そこで、正常部分と異常部分のXPSを測定し、ケイ素元素のNarrow Scanを比較しました。
正常部分は、離型剤のシリコーンが検出されたのに対して、異常部分は無機シリカが検出されました。この結果から、剥離不良はシリコーンの劣化により無機シリカに変質したことが原因であると推測されました。(詳細は添付ファイルをご参照下さい)

レンズの表面欠点の分析
レンズ表面に極微量の曇りが生じたため、曇りの原因物質の分析を行いました。
正常部分と異常部分をXPSのWide Scanで元素種を測定したところ、ナトリウム、カルシウム、マグネシウムが検出され、さらにNarrow Scanにより結合種の測定をしたところ、それぞれの炭酸塩であることが判明しました。

スパッタによる深さ方向の分析
XPSは数ナノメートルから10ナノメートルの極表面に存在する元素を検出します。更に深い部分の測定をするためには、スパッタで試料表面を削って測定をします。具体的には、アルゴンイオンやC60イオンを試料表面に照射して、試料表面の原子を「スパッタリング蒸発」により除去して、表面を削ります。
無機物の表面を削るときは、アルゴンイオンを使用することが多く、有機物の表面を削るときは、C60イオンを使用します。(詳細は添付ファイルをご参照下さい)

表面コーティングの厚さ分析
表面にフッ素を含むコーティングをした製品で、Lot間で表面特性の違いが見られました。そこで、アルゴンスパッタを用い、表面のフッ素と第2層に特徴的に存在する元素の検出量を深さ方向にプロットすることで、表層の厚みを比較しました。(写真B)
測定の結果、Lot間で約10ナノメートルの表層の厚みが異なることが明らかとなりました。(詳細は添付ファイルをご参照下さい)
写真B

電極表面の導通異常解析
あるコネクターの導通不良が発生しました。異常原因をXPSにて検証したところ、電極の極表面(10ナノメートル以下)に有機シロキサンが付着しているのを確認しました。同時に正常品を分析したところ、正常品にも有機シロキサンが付着していました。
そこで、アルゴンスパッタを用い80ナノメートルほど表面を掘り下げ、再びXPSで観察したところ、異常品のみ無機シリカを検出しました。このことから、有機シロキサンが酸化によりシリカに変質したことにより、導通不良を生じたことが明らかとなりました。

接着テープの接着異常解析
接着強度が通常より低いという不具合が発生しました。離型フィルム(PET)と接着面の両方の極表面をXPSにより観察したところ、接着不良品は正常品とは異なるスペクトルを有し、離型フィルムと接着面の双方からPETが検出されました。
さらに、接着面をC60イオンスパッタで深さ方向の分析をしたところ、PET→離型剤層→接着剤層の順で検出されました。
接着の不良は、離型シートの剥離が離型剤と接着剤との界面で生じずに、離型シートのPETフィルム部分で層剥離したため、接着面が露出せず、接着不良が発生したということが判明しました。(詳細は添付PDFファイルをご参照下さい)

マイクロスイッチの接点不良解析
接点に銀メッキを施したマイクロスイッチで接点不良が生じました。外観は正常品と何ら変わりがないように見えましたが、XPSで銀メッキ部分を測定したところ、Wide Scanで硫黄が検出されました。さらにNarrow Scanで硫黄と銀を測定したところ、硫化銀を形成していることが明らかとなりました。 XPSの結果より、接点不良は硫化銀の生成によるものと結論を出すことが出来ました。

SEMによるCPUの観察
パソコンのCPUを断面化して観察した事例です。断面化して内部の構造の観察に加えて、
どんな元素が含まれているかの含有成分の確認を電子顕微鏡(SEM)-EDSを用いて行っています。
この分析も綺麗で正確な断面を作る事ができるかどうかが分析の成否に大きく影響する事例です。